よくあるご質問:相続税の申告期限はいつまで?
相続が発生した際に、遺族が最初に直面する疑問のひとつが「相続税の申告期限はいつまで?」という問題です。期限を過ぎると延滞税や加算税が発生するため、注意が必要です。本記事では、相続税の申告期限の基本的なルールと、よくある誤解、注意点についてわかりやすく解説します。
申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」
相続税の申告期限は、被相続人(亡くなった方)が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内と法律で定められています(相続税法第27条)。
ここでの「相続開始を知った日」とは、基本的には「死亡日」のことを指します。したがって、例えば2025年1月15日にお亡くなりになった場合は、2025年11月15日が申告および納税の期限となります。
相続税の申告が必要な人とは?
相続税は、すべての相続で申告が必要というわけではありません。以下の2つを満たす場合に、申告が必要となります。
1,課税対象の財産が基礎控除額を超える
・基礎控除の計算式:
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
たとえば相続人が2人なら、基礎控除は4,200万円となります。
2,相続財産の評価額に対して税額が発生する
基礎控除内に収まる場合は、申告不要ですが、「配偶者控除」や「小規模宅地等の特例」を使って課税を回避する場合は、申告が必要になる点に注意してください。
相続税の申告に必要な書類と手続き
相続税の申告は、被相続人の最後の住所地を所轄する税務署に対して行います。提出書類は次の通りです。
・相続税申告書(第1表〜第15表)
・戸籍謄本、住民票、除票
・遺産分割協議書
・財産評価に関する資料(不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書、預貯金の残高証明等)
・納付書
また、遺産分割が終わっていない場合や、未分割申告を行う場合には、3年以内の分割見込書の提出が求められます。
期限を過ぎてしまった場合のリスク
期限内に申告や納付をしなかった場合、次のようなペナルティが発生します。
・無申告加算税
・延滞税
さらに、特例の適用(例:配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例)も、期限内申告が条件となるため、申告漏れ=節税の機会損失にもつながります。
申告期限を守るための3つのポイント
1,早めに専門家に相談する
相続税は財産評価が複雑であり、判断ミスが税額に大きく影響するため、早期に税理士など専門家へ相談するのが安心です。
2,資料の収集をすぐ始める
銀行や法務局への問い合わせ、不動産評価の取得など、意外と時間がかかる作業が多いため、できるだけ早めに取りかかりましょう。
3,分割協議を早めに行う
相続人同士で話し合いが長引くと、申告期限に間に合わないリスクがあります。必要に応じてファシリテーターを立てることも検討しましょう。
まとめ:申告期限は「10か月以内」、早めの行動がカギ
相続税の申告は、被相続人の死亡日から10か月以内と定められています。申告の要否は財産の額や控除の適用によって異なり、申告が必要かどうかの判断も含めて、早めに専門家へ相談することが重要です。
「いつまでに何をするべきか」を明確にし、スムーズな申告と納税を目指しましょう。わからないことがある場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。