国際相続と相続税申告の注意点とは?
近年、グローバル化の進展により、海外に資産を持つ方や外国に住む相続人がいるご家庭も増えてきました。こうしたケースでは、「国際相続」が問題となり、通常の国内相続とは異なる手続きや申告義務が発生します。
この記事では、国際相続における相続税の申告ポイントや海外に財産・相続人がいる場合の注意点について解説します。
国際相続とは?
国際相続とは、被相続人または相続人が外国に居住している場合や、海外に財産がある場合など、相続に国際的な要素が含まれるケースを指します。たとえば次のようなケースが該当します。
・被相続人が日本に住んでいたが、海外に不動産や有価証券、預金口座を保有していた
・相続人が外国に居住している
・外国籍の配偶者や子どもが相続人となる
こうした状況では、日本の相続税法に加え、外国の法律や税制度も関係してくるため、専門的な知識と正確な対応が必要です。
日本の相続税がかかる範囲は?
日本の相続税は、被相続人または相続人が日本に「住所」または「居住」を持つかどうかにより課税範囲が異なります。
実際の取扱は複雑ですのでここでは概略のみ記載します。
1. 被相続人が日本に住所あり
→ 全世界の財産が相続税の課税対象となります(国外財産も含む)
2. 相続人が日本に住所あり
→ 原則として、国外財産も相続税の対象です
3. 被相続人・相続人ともに日本に住所なし
→ 国内財産のみが課税対象となります
ただし、過去15年以内に日本に住所があった非居住者は「みなし居住者」として扱われる場合があり、国外財産も課税対象になる可能性があります。
ご注意)これらの判定は非常に複雑ですので詳細は国税庁タックスアンサー「No.4138 相続人が外国に居住しているとき」を必ずご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4138.htm
国際相続での相続税申告のポイント
1. 海外資産の評価
海外の不動産や金融資産も、相続税の課税対象となる場合には日本円に換算した評価額で申告する必要があります。評価方法は、現地の評価証明書、市場価格、残高証明書などを活用します。
2. 外国の相続税との二重課税リスク
一部の国では日本同様に相続税が課される制度があります。日本とその国の両方で課税される場合、「外国税額控除」という制度を使って、重複課税を一定範囲で回避できます。
3. 相続人が非居住者の場合の手続き
相続人が海外に住んでいる場合、日本国内での手続きが煩雑になります。たとえば、言語の問題や日本とは戸籍制度が異なっている場合、相続にまつわる関連書法令の違いなどがあり、想定以上に相続手続きが煩雑になるケースがありますので注意が必要です。
実務上のよくある課題
・英語や現地言語での書類取得(戸籍、登記、不動産評価書など)
・海外金融機関からの残高証明の取り寄せ
・複数国にまたがる法律の理解(遺産分割方法、遺留分の違いなど)
・現地国でプロベートの対象となり分割作業が進まない
これらは、一般の方が個人で対応するのは難しい場合が多く、国際相続に詳しい税理士や弁護士、行政書士、司法書士のサポートが不可欠です。
国際相続をスムーズに進めるための対策
・海外資産の一覧を生前から作成・整理しておく
・遺言書を作成し、国内外の法制度に配慮した形にしておく
・相続発生後は早めに専門家に相談し、申告期限(原則10か月以内)に間に合うよう対応する
まとめ|国際相続は専門家との連携がカギ
国際相続では、税務・法務・通訳翻訳・手続きの各面で高度な対応が必要です。少しでも海外に関係する財産や相続人がいる場合は、早めに相続に強い税理士へ相談することをおすすめします。
相続税の申告ミスや漏れは、追徴課税やトラブルにつながる恐れもあります。正確な財産評価と適切な申告手続きを行い、円満な相続を実現しましょう。
相続や国際相続のご相談は、初回無料で承っております。お気軽にご連絡ください。
町田相模原の相続相談センター