相続時には遺言の有無を確認しよう
相続時には遺言の有無を確認しよう
親族が亡くなった後に発生する相続手続きは、感情的にも体力的にも負担が大きいものです。
相続手続きではさまざまな手続きを必要としますが、まず確認すべきなのが「遺言書があるかどうか」です。
遺言がある場合とない場合とでは、相続財産の分割手続きに大きな違いがあります。ここでは遺言書がある場合と、ない場合における対応の違いを中心に解説していきます。
遺言書がある場合の相続手続き
遺言書がある場合、基本的にはその内容が優先されます。遺言書は民法の規定に従って作成されている場合、法的な効力が発生するためです。遺言書の存在は相続手続きを円滑におこなうためのポイントともいえ、例えば、遺産を特定の相続人に多く残したい場合や、特定の条件で相続させたい場合、遺言書は非常に重要な役割を果たします。
遺言書には、大きく分けて「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。自筆証書遺言は故人が生前に自分で書いた遺言書のことをいい、比較的安易に作成できますが、家庭裁判所の検認手続きが必要となります。一方、公正証書遺言は公証役場において公証人の前で作成する必要があり、自筆証書遺言と比べ信頼性が高く、検認手続きも不要となっています。
なお遺言書があっても相続人全員の合意があれば遺産分割協議をおこなうことも可能です。
遺言書がない場合の対応方法
もし、遺言書がない場合は民法で定められた「法定相続」が適用されます。法定相続とは配偶者や子ども、親などの相続人の権利(法定相続割合)に基づいて財産を分配する方法です。例えば、配偶者と子どもが相続人となる場合、配偶者が1/2、子どもが残りの1/2を分け合うという割合が一般的です。
ただし、法定相続では定められた法定相続割合に応じて、相続財産の分配がおこなわれます。そのため、故人の意向が反映されることがなく、場合によっては意見が対立し相続トラブルに発展することもあります。遺言書があれば、こうした相続トラブルを未然に回避する手助けになります。
なお、法定相続割合によらず、法定相続人全員で話し合い相続分の配分方法を決める「遺産分割協議」という方法もあります。この場合には法定相続人間の関係性や生前での贈与など個々人の被相続人との関係や相続人との関係などにより分割協議が難航する場合もあります。
また、最近ではデジタル遺言書や電子遺言を利用する機会も増えておりますが、これらは法的な有効性の確認が必要になります。
まとめ
相続時には、遺言書の有無をまず確認することが非常に大切です。遺言書があることで、相続人間のトラブルを防ぎ、亡くなった人の意向を尊重した形で財産を相続することができます。また、遺言書がある場合とない場合とでは、相続手続きについても異なる点があるため、家族で一度、遺言書の必要性について話し合ってみるとよいでしょう。